コラム: ドライブデート

 最近若者のクルマ離れが叫ばれています。女の子を乗せてデートなんてこと減っているのではないでしょうか。では、今の若者がドライブデートへ行ったら、いったいどうなるでしょうか。


 気になる大学の女の子、勇気を振り絞りドライブデートを取り付けました。車で海を見に行こうと。当日2人レンタカーに乗り込み、下調べをしつくした海へとカーナビをセットします。隣にはあの恋い焦がれた彼女が…、夢のような時間が今始まろうとしております。

 

 「ねぇ、君は休日何をしているの?」

 「私は普段…『この先300mを左折です』

 「お昼はどこで食べようか。君はどんな料理が好き?」

「イタリ…『このまま5km道なりに進みます』

最近のカーナビはよく喋ります。相席屋の女よりも喋ります。男も思わず「はい、わかりました」なんてカーナビに返事をしてしまいます。


 カーナビが多弁になったのも現代人が孤独になったからでしょうか。

『そろそろ運転時間が2時間を超えます。休憩してはいかがでしょうか』

『本日はあなたが車を買って1年記念になります』

生身の人間よりもよっぽど気が遣えます。

さらに進化したカーナビですと、『500m先に逆走の老人がいます。気をつけてください』なんて教えてくれます。


 若者が車を買う理由に恋人と2人きりになれるからといった理由があったのではないでしょうか。 昔、車メーカーは広めの軽自動車を恋人仕様と謳って販売しました。2人乗りなら2シーターでいいものを、後部座席でいったい何をしているのでしょうか。是非ドライブレコーダーで事故を記録して欲しいものであります。


 今の軽自動車はさらに進化し、広くゆったりとしています。昔の軽で恋人仕様なら、今の軽は家族仕様、いや三世代仕様でしょうか。家を買わずに車を住処とし、古くなったら新しい車へと住処を移し替える、まるでヤドカリのような生活へと変わっていくと思われます。まさにカーシェアリングではなくカーシェリング(貝)。


お後がよろしいようで。